What is ZMOT? -Search insanely great way- by 柾虎

消費者の意思決定を大きく変えるであろうZMOTについて解説していきます。

Fコマースはガッポガッポ儲かる!?

 最近、メルマガやFacebookのウォールでこんなメッセージを見ませんか?

Facebookで儲けるセミナー開催」

「時代は、EコマースからFコマース(Facebookコマース)へ!」

「ファンを呼ぶ ソーシャルメディア活用集客術」

 

 これを読んだ担当者、経営者は食いつきます。

「ソーシャルコマース、ソーシャル担当を任命して、○億円売上げろ!」

 でも、ちょっと待ってください。この記事によるとこうです。

”Bloombergの記事によると、Gap、J.C. Penney(衣料品店)、Nordstrom(ショッピングモール)、GameStopなどが昨年のうちにFacebookのショップを閉店。期待していた費用対効果がなかったため早くに閉める判断をしたところが多いよう。”とのこと。

 

 中でもGameStop(下写真参考)は2011年4月にFacebookショップをオープンし、わずか半年後に閉店した。これだけ369万Likeされているし、この人たちに対してコマースやったらすごいかも?!って期待を持って始めてみたFコマースがなぜ上手くいかないのか。

 

 上記の紹介記事とBrandGlueによると、「大手企業」のFacebookページに共通しているだろう「ファン」の行動が数値化されています。

  1. ファンの96%は「いいね」したページに再び戻ることはない
  2. Facebookページの一日の平均訪問者数はトータルファン数の0.7%といわれ、ユニーク訪問数は総ファン数の0.4%

 

 私自身の感覚からしても間違った数値ではないだろう。「大手企業」のブランド認知はされているので、思わず「いいね」をしてしまうことはあるものの、まるでチラシや広告のコピーみたいな内容で辟易とし、正直わざわざ見る価値もなく、場合によっては「フィード非表示」にする人も多い。

 また、下記に紹介している永江一石氏が自身の書籍で面白い理論を展開している。

  • GREEとモバゲーの客 =ゲームやる気まんまんで来た
  • アメーバピグの客     =ナンパに来た
  • mixiFacebookの客   =友達と交流に来た

 

 要するに買う気まんまんなら、Amazonや楽天、ヤフオクに行くわけです。問題なのは「いいね」の数ではなく、ファンがFacebookに訪れている目的と合致しているか、ということです。

 

 例えば「アカチャン本舗」のサイトに「幼児プレー エロビデオ絶賛発売中!」みたいなバナーがあって、興味本位でクリックする人はいても、購入にはいたりませんよね。(例えば大胆すぎたかな…)

 

 そこで、ひとつの指標である1記事あたりのリーチ率(1記事あたりの「いいね」数 ÷ ファン数)の比率の高さを見てみると、ユニクロや無印良品よりもANAの方が断然高いようです。

 

 それはなぜか。

 

 前者の企業がチラシの内容を発信していて社外の人で書けそうな内容であるのに対して、ANAは整備士など働いている人の顔や、飛行機からの風景、薀蓄といった、消費者が普段の利用では知りえない活動、CSRを公開する切り口がウケているからだ仮説が生まれます。

 

 散漫となった上、ダラダラと長くなってしまいましたが、今日の結論です。

※なお、「大企業」に限った結論です。

  • エンドユーザーのFacebookでの活動を理解しないと、大企業の情報発信はむしろ、ファンのウォールを汚す迷惑行為。
  • よって大企業のFコマースは儲からない。
  • 大企業がソーシャルメディアで情報発信するなら、消費者が普段の利用では知りえない活動、CSRを公開してはどうか。

 

以上です。

 

今回の記事を書くきっかけをくれた書籍

素人の顧客の意見は聞くな 永江一石のITマーケティング日記

素人の顧客の意見は聞くな 永江一石のITマーケティング日記